虫歯

虫歯とは?原因になる原因は主に5つ

虫歯とは

ミュータンス菌に代表される虫歯菌は、口内で糖質を取り込み、酸を出すことで歯の表面のミネラルを溶かしています(脱灰)。これは誰のお口の中でも起こっていることであり、ある程度であれば、唾液による再石灰化の作用によって溶けたミネラルは元に戻ります。
しかし、ミネラルの溶け出しに再石灰化が追い付かなくなると、エナメル質に穴があいてしまいます。これが、「虫歯」です。
穴があいてしまうと、もう元には戻りません。

虫歯になる5つの原因

細菌

ミュータンス菌などの虫歯菌のことを指します。
虫歯菌は、丁寧なブラッシング、歯科医院でのクリーニングなどでその量を減らすことができます。

糖質

口腔内の湿度、温度、暗さなどの点において、非常に虫歯菌の増殖に適した環境です。ここに、糖質というエサが常にある状態が加わると、虫歯菌の繁殖は加速し、虫歯リスクが高くなります。
口腔内の温度、暗さを変えるわけにはいきませんので、やはり毎日のブラッシング、定期的な歯科医院でのクリーニングが重要です。

時間

糖質が長く口腔に留まる、つまり食後もブラッシングをせずに放置しているほど、ミネラルの溶け出し(脱灰)が進んでいきます。
食後はできるだけ早くブラッシングを行い、虫歯菌が少ない時間を長くすることが大切です。

歯質

エナメル質から溶け出したミネラルを元に戻し、虫歯を防いでくれるのが「再石灰化」という作用です。
人によっては、この再石灰化がうまく進まないことがあるようです。ちゃんと歯を磨いているのによく虫歯になるという方は、歯科医院での予防をおすすめします。毎日のセルフケアの方法が間違っているのかもしれませんので、ご来院の際にはブラッシングの指導も行います。

かみしめ癖、歯ぎしり、悪い噛み合わせ

お口の中の清掃は上手にできているし、メンテナンスもしっかりできているにもかかわらず、虫歯になってしまうこともあります。虫歯菌はそう簡単に歯の表面のエナメル質を溶かして中に侵入することはできませんが、噛みしめや歯ぎしりなどで歯の表面に亀裂が入り、そこから虫歯菌が侵入することで虫歯ができることも少なくありません。虫歯になりやすい方はブラッシングによるケアの他に、マウスピースの使用で歯の表面を守ることも必要な場合があります。

虫歯の見分け方~黒い・痛いは虫歯?見た目は?

歯が痛いときの見分け方

慢性的な痛みがあり、歯ブラシなどでその歯を触ると痛みが強くなる場合には、虫歯である可能性が高いと言えます。
冷たいものを口にしたときなど、ときどき痛むという場合にも、初期虫歯が疑われます。ただ、知覚過敏という可能性もあります。なおその後、冷たいものだけでなく温かいものを口にしたときにも痛むようになったのであれば、虫歯が進行している可能性が高くなります。

歯が黒いときの見分け方

歯の表面が一部黒くなっている・黒い点がある、歯の溝に黒い線があるといった場合には、着色汚れや虫歯の可能性があります。

着色汚れの可能性

すべての歯がほぼ均等に黒ずんでいる、痛みがないといった場合には、着色汚れを疑います。
着色汚れは、食後すぐ歯を磨く、歯科医院でクリーニングを受ける、色の濃い食べもの・飲みものを避けるといったことで改善・予防ができます。丁寧に歯を磨くこと、禁煙するといったことも大切です。

虫歯の可能性

痛みがある場合はもちろん、歯が1本だけ・一部だけ黒い、奥歯の溝に沿って黒くなっているという場合も、虫歯を疑います。
できるだけ早く、歯科医院を受診しましょう。

放置すると死亡する?!虫歯を放置するリスク

虫歯を放置した時のリスク5つ

1激しい痛みが出る

虫歯が進行し、エナメル質を越えて象牙質に達する頃、痛みが出始めます。そして、神経に達すると激しい痛みが生じます。
神経が死んでしまうと痛みは消えますが、もちろん治ったわけではありません。さらにその後、炎症が歯の根にまで広がると、再び、激しい痛みに襲われます。

2口臭がきつくなる

虫歯菌や歯周病菌の増殖は、強い口臭の原因になります。また、虫歯が進行すると、神経が侵され、腐敗する嫌なにおいが発生します。
炎症が悪化したり、膿が出たりすることも、口臭の原因となります。

3神経を取り除く必要性が出てくる

虫歯が進行し、神経が侵されると、その歯をなんとか残すために神経を除去する処置(根管治療)が必要になります。

4抜歯をする必要性が出てくる

根管治療でも歯を残せないという場合には、抜歯をすることになります。
歯を失ったままにしていると、まず見た目が良くありません。また、隣の歯が傾いたり移動してきたりするため、インプラント・入れ歯・ブリッジといった追加の治療が必要になります。
このように、歯を失うと、さらに治療のための費用・時間がかかってしまいます。

5炎症から病気を引き起こす

虫歯を放置していると、炎症は歯の根へと拡大します。上の歯の根にまで炎症が拡大した場合には、副鼻腔炎の原因となることがあります。
また、顎の骨に炎症が拡大して骨髄炎になったり、虫歯菌が血液を介して全身を巡ることで心筋梗塞・脳梗塞のリスクが上昇したりといったことも懸念されます。

死亡する可能性も0ではない…

上記の通り、虫歯の放置は心筋梗塞・脳梗塞といった命にかかわる疾患のリスク要因となります。心筋梗塞・脳梗塞はさまざまなリスク要因が重なって生じるものですが、そのリスクを減らしておくに越したことはありません。
虫歯を放置するほど、健康への影響は大きくなっていきます。口腔内への影響に留まるうちに、きちんと治療を受けましょう。

虫歯の症状と治し方

C0

症状

エナメル質が少しだけ溶け始めている状態です。
痛みなどの自覚症状は基本的にありません。

治療法

この段階であれば、歯を削らずに治すことが可能です。ただ、無症状であるためご自身での発見は困難です。定期検診であれば、COの段階でも発見が可能です。
治療では、フッ素塗布と丁寧なブラッシングを行い、歯の再石灰化を促します。

C1

症状

エナメル質に穴があいた状態です。
神経まで距離があるため、また痛みはほとんどありません。冷たいものがしみることがあります。

治療法

虫歯部分を削り、白いレジンを充填します。

C2

症状

象牙質まで虫歯が進行した状態です。
この頃から、痛みが現れます。また、冷たいものがしみます。

治療法

虫歯部分を削り、型取りをして、詰め物を詰めます。

C3

症状

神経まで虫歯が進行した状態です。
慢性的な激しい痛みが続きます。神経が死ぬと、痛みは消失します。

治療法

歯を大きく削り、神経を除去する根管治療が必要になります。さらにその上から、型取りをして被せ物を取り付けます。

C4

症状

歯の根だけを残し、歯冠部がほとんど失われた状態です。審美性も機能性も大幅に低下しています。
炎症が歯の根にまで拡大すると、再び強い痛みに襲われます。

治療法

根管治療でも歯を残せる可能性は少なくなり、抜歯を検討得ざるを得ません。
抜歯した場合、その後インプラント、入れ歯、ブリッジなどの治療が必要になります。

1週間あたりの進行速度はどれくらい?

虫歯の進行速度には、個人差があります。乳歯か永久歯か、口腔環境、食生活などによって大きく左右されます。
たとえば、①乳歯の虫歯、②口腔が清潔でない、③甘いものをたくさん食べる、といった悪条件が重なると、1週間で目に見えるほど穴が大きくなることがあります(乳歯は永久歯と比べて虫歯への抵抗性が低く、虫歯が早く進行します)。
逆に言えば、口腔が清潔であり、甘いものを摂り過ぎない(摂ってもすぐに磨いている)ということであれば、虫歯の進行は緩やかになります。
もちろん、進行が緩やかだからといって放置していいわけではありません。症状に気づいたときには、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。

虫歯の早期発見のためのポイントは定期検診

意外と知られていませんが、痛みなどの症状が現れるのはある程度虫歯が進行してからです。そのため、痛みを感じてその日に受診したとしても、「早期に発見できた」ことにはなりません。
もっとも確実なのが、定期検診に通うことです。痛みなどの症状がない段階でも、歯科医師・歯科衛生士であれば虫歯を発見することができます。