子どもの学校歯科検診では何をチェックしている?
学校歯科検診の目的
学校で行われる歯科検診は、虫歯や歯並びの乱れといった異常のある児童を、おおまかにふるい分けるスクリーニングを行います。これは、一人ひとりに十分に時間をかけたり、万全の設備を準備することが現実的に難しいためです。
つまり、歯科医院で受ける定期検診とは、そもそも性質が異なります。学校の歯科検診で異常を指摘されなくても、歯科医院の検診で異常が見つかるということは、決して珍しくありません。
学校歯科検診でチェックするポイント
虫歯の有無
地域や学校によって多少記載方法が異なりますが、乳歯と永久歯に分けて、虫歯の数が記録されます。
歯肉の状態
大人のような歯周病が見つかることはまずありませんが、歯肉の炎症自体は年齢に関係なく起こります。磨き残しの放置、口の中の小さなケガなどによって炎症が起こります。
歯並び(歯列)の状態
出っ歯や受け口、開咬、叢生などの歯並びの乱れがあれば、指摘されます。
生え変わり時期の乳歯
もうすぐ生え替わりそうな乳歯もチェックされます。チェックされた乳歯がいつまでたっても抜けないという場合には、歯科医院で診てもらいましょう。
スクリーニングの判定は3段階
スクリーニングでは、各項目について、以下の0~2で評価されます。なお、「要観察」を学校側が実践することは困難であるため、実際には歯科医院で観察する必要があります。
「0」:健康
「1」:要観察であり、定期的観察が必要
「2」:要精査・要治療であり、歯科医師による診断が必要
「歯列・咬合の状態」の判定基準
「歯列・咬合の状態」についても、以下のように0~2で評価されます。
「0」:特に問題はなく、成長発育の状態を観察する
「1」:現状に問題があるが、顎骨の成長によって問題がなくなる可能性がある
「2」:経過観察をしても改善が期待できず異常が確定している
これらの評価は、矯正治療の要・不要ではなく、将来的な口腔・健康のリスクに着目してなされるものです。ですので、「1」や「2」の判定であった場合はもちろんですが、「0」の判定であった場合もできる限り、歯科医院で歯並びを診てもらうことをおすすめします。
学校の歯科検診で歯並び(歯列不正)を指摘されたら
学校検診で歯並びの異常を指摘されたとき、また指摘はなかったものの気になる点がある場合には、保護者様はご不安になることと思います。
現在、インターネット上にはさまざまな情報があふれており、「どれが本当なのか分からない」ということも少なくありません。
当院では、最新の情報を取り入れた、エビデンスに基づいた治療・アドバイスを提供しております。モヤモヤとお悩みになり、なんとなく問題を後回しにしたために適切なタイミングを逃すということもありますので、お早目にご相談ください。
学校検診後、すぐに矯正歯科治療が必要?
最初の相談先として、かかりつけの歯科医院を受診するのもよいでしょう。ただ、その歯科医院が矯正治療に対応していないということもあります。その場合は、矯正歯科を専門とする歯科医院を紹介してもらいましょう。
なお、受診してすぐに治療が開始されるとは限りません。幼稚園、小学校、中学校のあいだはまだ顎が大きくなりますので、経過を観察しながら、適切なタイミングを見極めるケースが多くなります。
一方で、一部には早急な治療開始が望ましいケースもあります。「もうちょっとしてから」と自己判断で受診を後回しにしないようにしてください。
「様子見、経過観察」と言われたけど…気になる症状がある場合
矯正歯科において、様子見にしましょう、経過観察をしていきましょうと言われることは少なくありません。矯正治療の開始は早ければ早いほど良いというものではなく、歯並びだけでなく顎の成長などを観察しながら、適切なタイミングを見極めることが重要であるためです。
ただ、以下のような症状がある場合には、近い将来に歯並びが乱れる可能性が高いと言えます。場合によっては、セカンドオピニオンを利用されることをおすすめします。
- 鼻炎がある
- いびきをかいている
- うつぶせ寝でないと眠れない
- いつも口があいている
- 立ったとき、座ったときの姿勢がよくない
学校検診をきっかけに「子どもの矯正」を検討中の方へ
歯並びが乱れていると、見た目のコンプレックスだけでなく、噛む機能・喋る機能の低下、歯・歯茎・顎の骨への余計な負担の増加、虫歯・歯周病リスクの上昇といった、さまざまな悪影響が及びます。
歯並びは、お口だけでなく身体の、見た目だけでなく健康の問題ですので、必要であれば、できる限りお子様に矯正治療を受けさせてあげてほしいと願っています。
治療法や治療のタイミング、費用などについて、分からないこともあるかと思います。まずは一度、お気軽に、ご相談にいらしてください。